「現場でのやさしい日本語」という言葉を耳にしたことはありますか?
これは、難しい専門用語や複雑な日本語表現を避け、外国人技能実習生や特定技能外国人にもわかりやすく伝える工夫のことです。いまや多くの現場に外国人材が加わり、日本人と同じように作業を担っています。しかし、言葉の壁から「安全に作業できない」「誤解が生じる」といった問題が起きやすいのも事実です。
この記事では、現場でのやさしい日本語の重要性と、その活用によるメリット、さらに中国アセアン交流協同組合の取り組みをご紹介します。
やさしい日本語とは?
「やさしい日本語」とは、1995年の阪神淡路大震災で生まれた災害時の情報発信手法をルーツにしています。外国人にとって理解しやすい日本語にするための工夫です。たとえば:
「着用してください」 → 「つけてください」
「危険ですので立ち入らないでください」 → 「ここに入ってはいけません。あぶないです」
漢字にはふりがなを付ける
一文を短く区切る
こうした配慮により、外国人材が安心して働き、生活するための基盤をつくることができます。
現場でのやさしい日本語のメリット
1. 安全衛生の徹底
労働安全衛生法では、雇入れ時や作業変更時に安全教育を行うことが義務づけられています。しかし、専門用語を多用した説明は外国人には理解が難しいことがあります。やさしい日本語を使えば、保護具の着用方法や作業手順が正しく伝わり、事故防止につながります。
2. 労務管理の円滑化
労働契約や賃金の説明は、母国語または理解できる言葉で丁寧に行う必要があります。やさしい日本語を取り入れることで、「賃金の控除内容」「休日のルール」などが誤解なく伝わり、トラブルを防止できます。
3. 失踪防止
技能実習生の失踪原因には「仕事内容や待遇への理解不足」が挙げられます。やさしい日本語で仕事内容や給与の仕組みを伝えることで、不安を軽減し、安心して働ける環境づくりにつながります。
4. 職場の一体感の向上
外国人材が理解しやすい日本語を心がけると、自然と職場全体のコミュニケーションが円滑になります。「伝わった!」という実感は、外国人材にとって大きな安心感となり、定着率の向上にも寄与します。
中国アセアン交流協同組合の取り組み
当組合では、技能実習生や特定技能外国人が安心して働けるよう、現場での「やさしい日本語」活用を積極的に支援しています。
入国後講習でのやさしい日本語教育
安全衛生や労働法令を、専門通訳とやさしい日本語を併用して説明。現場配属前に基本を理解できるよう工夫しています。
多言語資料とやさしい日本語の併用
法令や安全マニュアルは翻訳版を配布しつつ、日本語の資料は「ふりがな」「イラスト」「短文」で再編集。視覚的にも理解しやすい形にしています。
企業訪問でのサポート
定期的な監査訪問時に、実習生と企業担当者の間に立ち、やさしい日本語を使った説明や調整を実施。「分からない」を放置しない仕組みを整えています。
安全教育の工夫
厚生労働省が公開している外国語教材を活用し、現場に即した安全教育を実施。日本人スタッフにも「やさしい日本語」の活用を呼びかけています。
まとめ
「やさしい日本語」は単なる言葉の工夫ではなく、外国人材と日本人が共に働くための大切なツールです。安全・労務・生活のあらゆる場面で活用でき、失踪防止や定着促進にも直結します。
中国アセアン交流協同組合では、今後も現場で役立つやさしい日本語の教材や研修を拡充し、企業と実習生の双方に安心を届けてまいります。
外国人材の受け入れや現場での日本語コミュニケーションに不安を感じている企業様、ぜひお気軽に当組合へご相談ください。
中国アセアン交流協同組合 公式HP